焔の料理人ハティ―調理編ー
「ミネルヴァ。ライスランドの会場へ送ってもらえないか?」
材料を抱えてクレスダズラのミネルヴァの店へと帰ってきたハティ。
その目には何か決意の輝きのようなものが宿っていた。
「いいわよ。私も審査員としていかなきゃいけないし一緒に行きましょう。」
ミネルヴァがそう返すと扉が何もない空中にいきなり現れる。
何もないかのようにミネルヴァはその扉に手をかけ、ハティも後に続く。
――ライスランドホワイトデー会場キッチン
「ここからは調理人と審査員は別々だから私は向こうで待つわね。楽しみにしているわ。」
ミネルヴァがホワイトデー会場のキッチンを後にする。その背を見送った後、ハティは気合を入れるかのように顔をパシッと叩きつぶやく。
「よし。やるぞ。まずは豆の準備からだ。」
チュリグ産の豆を取り出し、リーフィ大陸の水で浸す。
「これで12時間程待つ……。少し寝るか。」
――12時間後
「豆もふやけたな。そしてこの豆をすりこぎで漬け込んだ水ごとすりつぶす……!」
ひたすらすりつぶす作業を繰り返すハティ。
満遍なくすりつぶされた豆をなべを取り出しなべに移し、リーフィ大陸産の水を追加して煮込む。
「これをしばらく煮込んで……と。焦げやすいから注意だな。」
注意深く豆をかき混ぜながら泡の様子が変わるまで煮込み続けていた。
すると、豆乳のよい香りが漂い始めた。
「成功だな。これを布でこしとっておからと豆乳にわけて……と。」
ボウルに布でこしとった豆乳と布に残ったおからを取り分ける。
「そして豆乳を温めなおして……にがりを打ってと。よし。固まってきたな。」
おもむろに容器に上澄みごと移し、つぶやく。
「おぼろ豆腐。完成だ。俺はこれが豆腐の究極の姿だとおもっているんだ。」
「ライスランドの醤油をかけて食うと……。うん。うまい!」
味見をし、満足げにうなずくハティ。
「俺は豆腐が好きだからな。豆腐しかないとおもっていたんだ。あとは審査だな……。どうなることやら。だな。」
なんか割りと普通になりました。
ハティさんは豆腐が好きです。
おぼろ豆腐は私も好きです。