ミネルヴァのある日
ホワイトデーイベントでお越しの際はどんな感じの店なのかわかるように書いたつもりがよくわからないことに……。
ミネルヴァさんは基本優しいですよ!怖いけど!
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煌びやかでいながら、どこかシックで落ち着きの有る店内。
そう。ここはクレス王国屈指の高級キャバクラ“黒の蝶”店内である。
柱の随所には明かりの魔道具が置かれ、夜でも暖かな光を湛えている。
この店の主、名を捨てた神――アルガ=ダズラことミネルヴァはキャスト達の所作に目を光らせる。
「シレス。新人のあの子。そう。ミネアよ。もう少し丁寧な接客させなさい。
私はいつもの三人の相手してくるから。」
「わかりました。ミネルヴァ様。」
アルビダとサターニアのハーフのNO1ホステス、シレスに言付け、カツカツとヒールを鳴らし店の奥のVIPルームへと向かう。
「ミネルヴァー!ペリ・ドンニョンブラックおかわりー!」
ミネルヴァがVIPルームの扉を開けるとともに赤い髪の女がほろ酔いの様子で声をかけてきた。
「ヴィダル。あなた飲みすぎるとこの店で働かせるわよ。」
ミネルヴァはにっこりと凍てつくような笑みを浮かべる。
「ちぇーけちー。」
そういってヴィダルは口を尖らせる。
「まあいいわ。私も飲みたいし。持ってこさせるわ。」
「やった!わかってらっしゃる!」
ヴィダルは喜びながらミネルヴァに抱きつく。大してうれしくもなさそうにミネルヴァは露出の多い服を着たエルフの男――ユピテルに声をかける。
「一番の問題はお金をちゃんと払ってくれるヴィダルじゃないんだけどね。ね?ユピテル?何ヶ月ツケためてる気?」
にこにこと冷気の漂う笑みを浮かべながらべろべろに酔っ払ったユピテルに声をかけるがユピテルは酔いのためへらへらと笑いながら手を振る。
「いーじゃんかよ。オレ、ちゃんと頼まれた“仕事”はしてるだろぉー。」
そうユピテルは返す。
「そうね。無理のある“仕事”は全部まわしてるものね。でもそれとこれとは別。差し引いたとしてもいくらツケが残るのかしら?」
「おいおい。酒の席で無粋な話はやめようぜぇー。」
のらりくらりとかわすユピテルの横からハティが口を挟む。
「おい。酒とツケとは別の話だ。ちゃんと払え。俺は抜け羽払いだがちゃんとはらっているぞ。」
「ちぇ。いいよな有翼人は。自分の羽売れば金になんだからよぉ。」
ユピテルはうらやましそうにハティの羽を触る。
「あなたはあなたで仕事があるでしょう?これから私は忙しくなりそうなの。ライス王国まで審査員しにいかなきゃならないし……。」
ミネルヴァはうきうきとした様子でシャンパンのグラスを傾ける。
「それに、お客様も来るかもしれないしね?うふふ……。」
にやりと妖艶に笑いながら黒髪とガーネットの瞳を持つ美女は何かを待つように物思いにふけるのであった。