クレスダズラ日誌

PFCS企画のことダラダラ描くよ!

補足 クレス王国四大貴族領解説

野球大会編補足
クレス王国四大貴族領説明


城塞都市ダグ
領主 ドラウプニル=トュール=グローイ=フギンケニッグ公
フギンケニッグ領ダグの中心地にある城塞都市。
肥沃な穀倉地帯を領地に持つフギンケニッグ領。
クレス王国で消費される麦やじゃがいも等が大量に取れる地域。
海に面していない、大陸の内陸部にある城塞都市。
中央には歴史の古いヴァルホル城がそびえたっている。
城塞都市外には騎士爵が領主を務める小さな村々を擁する。
基本的にフギンケニッグ家は代々魔術が使えないため、民兵を育てて人海戦術で戦う。
そのため、寄せ子としての騎士爵を夢見た民兵達が、白鴉騎士団に所属している。
白鴉騎士団は、400年前のダズラ王国との30年戦争で活躍したため、クレス王国国民のヒーロー的存在。
功を立てたものはフギンケニッグ家より開拓者として、一代限りの騎士爵をもらい村長として村を開拓して発展させるよう指導されている。
フギンケニッグ家の家訓として、家は飢えても民は飢えさせるなという格言があり、住みやすい場所として非常に人気がある。
名物はトラピストビールとジャガイモとベーコンを炒めたもの。


交易都市ノート
領主 グレイプニル=ティウ=フギンケニッグ=ムニンレフル侯
ムニンレフル領ノートの中心部の交易の中心地。
現当主グレイプニルはフギンケニッグ家からの入り婿で、ドラウプニルの弟。
ダグの南に面し、東にクラン、南側にニダヴェリールという便利な四大貴族領の中心地。
交易による利益により、商人たちが各地より集まる王都に次ぐ第二の都市と言われている。
各地に点在する村や町の領主達は寄せ子で、有事とあらばその領主達が集まってくる。
ムニンレフル家も魔術のあまり得意ではない家のため、民兵を育て功を立てたものに、爵位と開拓地を与えるという手法を取っている。
ムニンレフル家の擁する黒鴉騎士団もダズラ王国との戦争で活躍したため、白鴉騎士団と並び人気がある。
クレス王国の鴉と言えば黒鴉騎士団と白鴉騎士団を指す。
ヴィダルの母のブリュンヒルデの出身地はノートの山奥の開拓地。
ヴォルヴァ家はフギンケニッグ家と繋がりを持ったため、一代限りの騎士爵から男爵へと格上げされた。
基本的に隣同士なのでダグとノートの民は仲がいい。
昔、ブドウをそだててみようぜ!というチャレンジ精神に溢れた騎士がおり、その騎士が試行錯誤した結果、ノートの名産品になるまでブドウの生産が盛ん。
いろいろワインやブランデーが作られている。
名物はワインやブランデーとバウムクーヘン


鋼鉄都市ニダヴェリール
領主 オーズ=シヴ=エッダ=ヴォルンドル侯
クレス王国南部に位置し、精霊島と最も近い領地。
代々ヴォルンドル家は精霊保護に努めており、精霊島より様々な精霊種を招いて色々な装飾品や武具を作っている。
なかでも、定住したドワーフたちの作る武具は見事で、クレス王国内ではニダヴェリール製の武具を持つ事がステータスになっている。
主にノート経由で各地へと装飾品や武具は各地へと売られている。
また、南方のため暖かく、カカオや砂糖、胡椒が育つためヴォルンドル家所属の騎士爵達は育成に力を入れている。
暖かいため非常に過ごしやすい。
海に面しているため海の幸も取れ、クレス王国内でも屈指の金を持つ貴族領。
代々ヴォルンドル家当主は穏やかな性格なため、統治もゆるやかで最も平和な土地。
人間が多いクレス王国内でも珍しい、エルフやドワーフ種が安心して住める領地。
ヴォルンドル家の擁する炎槌騎士団はクレス王国内唯一の精霊との混成騎士団。
功を立てれば人間以外でも騎士爵を与えられるため、一旗上げることを夢見た精霊種達が精霊島より訪れる。
ていうか人間よりも精霊のほうが多いということになっている不思議な騎士団。
ヴォルンドル侯もまぁいいか!魔術得意だもんね!みたいなノリで割と容認している。
甘味も豊富なため、各地の領主達が自らの抱える料理人を送り込み、スイーツを覚えさせようとしているためスイーツを味わうならここ。
名物は鍛冶品とチョコレートケーキ。


魔術都市クラン
領主 キュ=ク=レイン伯
クレス王国東部のダズラ王国との国境に面する国。
過去度々、戦地となっていたが30年戦争も終わり、和平が締結された後、住みづらくなったクレス王国内の妖怪達が集まって出来た街。
レイン家はヒトとアルビダのハーフのため、アルビダの特徴の出た領主が代々治めていたが、当代のキュ=ク=レインはヒトとして生まれてきた。
レイン家は四大貴族と言われているが、妖怪混じりのため他の貴族達から格下に見られている。
妖怪達とヒトが割と穏やかに過ごす領地で、妖怪混じりのヒト種が沢山いる。
妖怪混じりのため、呪詛も中途半端にしか使えないことから、強化するため魔術の研究が盛んに行われている。
なかでも、初代レイン伯が研究のため作ったクラン大学は魔術の研究を目指す者の登竜門として、クレス王国内より魔術の深淵を覗きたい人々が集っている。
結構過激な研究をしているが、レイン伯はそれを容認している。
その結果、クラン大学で新しい魔術として召喚魔術が発見された。
現当主キュも自身が何故妖怪ではなくヒトとして生まれたのかが知りたくて研究室を持っている。
あまり周囲に食料を生産するための村などは無いが、ダズラ王国との入り口としての務めを果たしているため、ダズラ王国の名産品が入ってくる。
レイン家擁する豪槍騎士団は召喚魔術の扱える者のみ入団を許され、騎竜やグリフォンを召喚しそれに騎乗し空中戦を得意とする、何気にめっちゃ強い騎士団。
クレス王国内で妖怪が成り上がるにはこの領地しかないため、クレス王国中の妖怪達がなんとしてでも住みたいと思っている。
ただし、クレス王国内では妖怪には爵位は与えられることはなく、妖怪混じりのみ騎士爵が与えられている。
名物は魔道具とサンドイッチ(研究の傍ら食べやすいからとみんな食べてる。)

野球大会編5章

――獅子の月2日
 轟音を立てて走る馬車の中、ヴィダルは真っ青な顔で言った。

「ハティ……。ちょっとバケツとって吐きそう……。」

 不思議そうな顔でハティはバケツを差し出す。
ヴィダルは乗り物酔いで激しく気持ち悪くなっていたのだが、ハティはなんともないようだった。

「お前達はなんでさっきから吐いてるんだ?」

 向いの席に座るスヴァ=ローグも真っ青な顔でバケツに吐いていた。

「これほどの揺れとは……。速いが……。速いのだが……。乗り心地は最悪ではないか……。」

「ミネルヴァの奴……。こんなもんよこすなよ……。着く前に死ぬ……。」

 スヴァ=ローグのヴィダルは同時にバケツに向かって嗚咽を漏らす。

「俺は普段から飛ぶから、この程度の揺れは慣れてるんだが……。ヒトは妖怪は大変だな。」

 その姿を見ながらハティはあきれ顔で呟いた。

「そういやあんたに担がれて飛んだ時、お腹ひゅぅっとして気持ち悪かったわ。ウッ。思い出すだけで気持ち悪くなってきた。」

 真っ青な顔をした、ヴィダルとスヴァ=ローグは空を飛ぶ感覚を想像し、再び気持ち悪そうにぐったりとしていた。
10台の従者や選手を乗せた四頭立ての馬車は、順調に爆走していた。
 その時。爆走する先頭の馬車の前に一人の男が居た事も知らず。

 


――同時刻、獅子の月二日
 鍛冶の盛んな南方のニダヴェリールより、一人の鍛冶屋兼剣客が、ダグのビフロスト球場へと向けて歩いていた。

「ミネルヴァ殿に言われてダグまで旅をしているが、ダグまでもう少しでござるな。もうひと踏ん張りでござる。」

 しっかりとした足取りで、トキミツ=ヨンジョウは荷物を背負いながら街道沿いを進んでいた。

「しかし、何故先ほどから地鳴りのような音が聞こえているのでござろう。何かの予兆でござるか?」

 響く地鳴りのような音を聞きながら、トキミツは進んでいた。
丁度、ダズラ方面へと伸びる街道への分かれ道に差し掛かった時、その地鳴りのような音の元凶が飛び出してきた。
 漆黒の、闇に溶けるかのような光る赤い目をした四頭の馬が引く漆黒の馬車の集団が現れたのだ。
御者もなく、異常な速度で迫ってくるその馬車を見たトキミツは蒼白な顔をした。

「なななな!なんでござるかあれは!同じ方向に向かってくるでござる!逃げ……!」

 言葉を最後まで言うまでもなく跳ね飛ばされるトキミツ。

「グフゥ!?」

 見事に空中に飛び、くるくると回転しながらトキミツは跳ねられた。
そしてそのままトキミツは頭から着地し、走り去った馬車の集団を見ることもなく気を失った。

「無……無念。」

 そう呟き、ぼろ雑巾のようにトキミツは転がっていた。


――同時刻。獅子の月二日。

 「ねぇ。さっき窓から人が飛んでいくの見えたんだけど。」

 「我も見えたぞ。もしかして跳ねてしまったのだろうか。生きているのだろうか……。まぁよい。旅人は死んでも仕方のないものだ。」

 真っ青な顔をしたスヴァ=ローグは肩をすくめた。

 「はぁ。そういうもんですか。」

 「そういうものだ。定住せん者まで国は保護できまい。」

 ヴィダルはあきれ顔で言うが、当然とばかりにスヴァ=ローグは言った。
そこにハティは口を挟もうとしたが、スヴァ=ローグに目で威嚇され口をつぐむ。

 「主らも賞金稼ぎであろう?死の付きまとう稼業ではないか。旅というものは自己責任だよ。この大陸はさほど優しいものではないわ。
そのぐらい身に染みて分かっておるであろう?」

 ハティは頷き、言葉を返す。

 「それもそうだな。旅は危険なものだ。仕方ない。」

 想定外の馬車に跳ね飛ばされるという、事故に合ったトキミツをよそに馬車の三人は頷きあい納得した。
そして、轟音を立てながら馬車の集団は二時間ばかり走り、夕日が照らし出した頃、城壁に囲まれた城塞都市が見え始めた。

 「うわー……。本当にダグまで一日で着いた。」

 その間、ヴィダルとスヴァ=ローグは吐きつつも城塞都市へと到着し、馬車が止まったことに安堵した。
城壁の外の受付で執事達が入場の手続きをしている間に、簡単な飲み物を飲んだりして待っていた。
 そして、手続きも終わり馬車も先ほどとは違う、ゆっくりとした足取りで中央に見える一際大きなバロック建築の城へと向かいだした。

「フギンケニッグの娘よ。久しぶりのダグとヴァルホル城を見た感想はどうだ?」

 なにか自慢げにスヴァ=ローグは言う。

「いや、まぁ、すっごい微妙な心境です。相変わらず平和そうでなによりなんですけど……。」

「くく。そのまま連れ戻されないか。か。気にするな。主の身柄はダズラでしばらく引き受けるということにするさ。」

 気さくにスヴァ=ローグは笑うが、ヴィダルは微妙そうな表情をしていた。

「まぁ、それもそうなんですけど。今回の野球大会って、クレス王家も出るんですよね?あいつ……。じゃないシグフルド王子も来るんですか?」

「事前に選手の名簿は交換しない約束だが、おそらく来るだろうな。第一王子であろう?クハハ。主の元婚約者と言ったほうが早いか。」

 そう。ヴィダルの家出の原因は第一王子との婚約の話が出たからであった。
フギンケニッグ家も跡取りが居ないため、渋っていたがヴィダルとシグフルドが幼馴染で仲が良かった。
ということで仕方なく、ムニンレフル家より次男を養子として迎えて収まりをつけようとしていたのだが、実際は仲が良かったわけではなかったのだ。
 貴族一派のガキ大将だったヴィダルが、ひたすらいじめていた相手がシグフルドだったのだ。
いつも一緒に遊んでいたのだが、パシリ扱いの気の弱い文系男子。それがシグフルドだった。
 他の貴族の子供たちは、第一王子だからやめてあげてと言っていたがそんなことも聞かず、ただ何となくパシリにすると面白いというだけでヴィダルはいじめたおしていた。

「さすがに……。いじめていた相手のもとに嫁ぐのはちょっと……。」

 ヴィダルは複雑な顔でそう呟く。

「しかし、第一王子は主のことを好いていて、是非にと指名したようだったが。まぁよい。もうすぐ城につく。休ませてもらおうではないか。」

 開く城門を横目に見ながら、スヴァ=ローグはようやく休めると安堵した表情だった。

「お前第一王子にそんなことしてたのか。ひどい奴だな。」

「うるせぇ!なんか気にくわなかったんだよ!なんでみんなしてアタシの過去の傷をえぐるんだよ!」

 なぜシグフルドが自分を指名したのか全く分からないヴィダルは頭を抱えながら、ゆっくりと走る馬車が止まるを待った。
馬車が止まると、城の扉の前にズラリと並ぶ騎士や執事、メイド達を従えた一人の男が待っていた。
 ヴィダルと同じ燃えるような赤い髪をした、屈強な体躯を持つ、金糸に彩られた黒い服を着た貴族が声を上げた。

「ようこそ!我がヴァルホル城へ!スヴァ=ローグ女王陛下!わしはドラウプニルテュール=グローイ=フギンケニッグ!この地、ダグの領主でございます!」

 ぞろぞろと従者達が馬車より降り、セイ=ロンがヴィダルやスヴァ=ローグの乗る馬車の扉を開けた。
そして、優雅な所作でスヴァ=ローグは馬車より降りるとドラウプニルに近寄り、握手を求めようと手を差し伸べた。

「出迎えご苦労!フギンケニッグ公。今日は主の驚く土産を持ってきたぞ?クハハ。降りてこい!」

 スヴァ=ローグの手を取り、ドラウプニルは握手すると不思議そうな顔をしたのち、驚愕の表情を浮かべ、馬車より降りてくるヴィダルを見て大声をあげた。

「ヴィダル!?なぜダズラの馬車に!?いや、それよりも……。」

 ドラウプニルはヴィダルの後に続き降りてくるハティを見て言葉を続ける。

「なんだその男は!もしかしてお前の婿候補か!?」

 同時にヴィダルとハティは絶叫した。

「「はぁ!?」」

 

 

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トキミツさん。跳ねられる。

スヴァ様とヴィダル車酔い。

ヴィダルとハティ。父に勘違いされる。

の三本でお送りしました。


あとイラストサルベージ色々。

ちょっとサイズ小さいです。

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アルマ=ユマさん。横スリット忘れてる。


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ヴィダルちゃを14歳

昔は髪が長かった。


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スコルとハティ兄弟。

実はハティさん日焼けしてる。


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謎ロボ。

量産型って単眼やんな。ってノリやった気する。


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ちょっとグロい蛾の女王。

拘束具とか好き。


今日はいっぱい更新したよ!


野球大会編四章ー出発ー

――獅子の月1日、ダズラ王国王宮。玉座の間。

 きらびやかな玉座の間に通された二人は、呆然としながらつぶやいた。

「……ねぇ、なんでアタシ達こんなとこ居んの?」

「それはあれだろ。賞金稼ぎ組合からお呼びが掛かって王宮に来いって言われたからだろう。」

 ハティは肩をすくめ、周りに居る執事やメイドの姿をした妖怪達に目を向ける。
その中の一人、ねじくれた角を持った壮年のサターニアと目が合い、笑みを返されハティは目を背けた。

「ヴォルヴァ様、ヴィトニルソン様、王のご到着まで今しばらくお待ちください。これは国家からの依頼でございます。
報酬は沢山お出し出来ますし、大変安全な依頼でございますし……。それに貴方方にしかご依頼できないのです。詳しくは王よりお聞きください。」

 そのサターニアの執事――セイ=ロンは笑顔で二人にそう告げると、周りに居る10人の執事達に目配せをする。
ヴィダルはその様子を見ながら腕を組んだ。

「はぁ……。安全で報酬のいい依頼……ねぇ。すっごい嫌な予感する。」

「同感だ。」

 ハティは頷く。そして、執事のうちの一人、ヌワラ=エ=リヤが後ろを振り返り、手をパンパンと二回叩いた。

「スヴァ=ローグ王の到着でございます!」

 その声を聴き、ヴィダルとハティは跪き、コツコツと聞こえるヒールの音を聴く。
そしてそのヒールの音は目の前まで近づくと、大きな声が聞こえた。

「面を上げい!我はスヴァ=ローグ!ダズラの王なり!赤の魔女よ!蒼の闇よ!良く来てくれた!」

 満面の笑みでスヴァ=ローグがヴィダルとハティを二つ名で呼び、二人を普通に立つよう促した後、玉座に座った。

「これは王命である。明後日、クレス王国との野球大会がダグのビフロスト球場である。主達には参加してもらうぞ。」

「や・・野球大会?」
 
 困惑した様子でヴィダルがつぶやいた。

「そうだ。国家の威信をかけて野球大会をするのだ!そしてヴォルヴァ……いやフギンケニッグの娘と言ったほうが良いかな?主にはダズラサイドで出てもらう。
無論、クレスサイドには主の父や親戚が出てくるだろうから、それに対抗するためだ。フギンケニッグ家の運動能力は、呪詛や魔術等でどうこうできるレベルではないからな。」

「えっ!?ちょっとまってください!私の素性バレてたんですか!?」

 ヴィダルが慌てながらスヴァ=ローグに言い返す。

「主は数年で頭角を現しすぎたのだよ。だから素性を調査させてもらった。そしてそのヴィトニルソンの子もな。
我も驚いたよ。あの伝説の横綱“魔狼”の息子が月の子供だとはな。」

「俺のことも調査済みというわけか……。」

 スヴァ=ローグはにやりと嗤う。

「もちろん断ることは許さぬぞ?断り次第フギンケニッグ家に送り届けて恩を売りつけてやるのだ。主が家出した理由も調べておるわ。ふふ……。まことに面白い娘だ。気に入ったぞ。」

 深くため息をつき、ヴィダルは髪の毛をわしわしとかきむしる。

「はぁ……。わかりましたよ。でももう二日しか日にち無いですよ?どうやってここからダグまで行くんですか?」

「ふふふ。黒の貴婦人が良いものを用意してくれたのだ!もうそなたらの分の準備は整えておる。今すぐ出発するぞ!」

 ドヤ顔でスヴァ=ローグは二人に出立を促すと、困り顔の二人と12人の執事達を連れ、王宮の外まで歩いていく。

 その後ろでボソボソとヴィダルはハティに言う。

「どう思う?ハティ……。やっぱ嫌な予感当たったんだけど。ていうか行先ダグでしょ?実家の領地じゃん……。」

「いや……。俺もさっぱりわからん。」

「内緒話はだめですよぉ~。」

 メイド服を着たサターニアの執事、ダージ=リンはにこにこと二人の間に割って入る。

「こらこら。ダージやめなさい。お二人も突然の出立で困られているのですよ。ほら。あそこにある馬車に乗るのですよ。」

 ダージ=リンを諫めながら、セイ=ロンは漆黒の目立つ馬車を指さす。
しかし、その馬車は何かがおかしかった。
馬が馬のような何か。だったのだ。金属製の闇に溶けるかのような漆黒の馬の形をした何か、だった。
目立つのは目の位置に取り付けられた、明かりのように光る眼のような真っ赤なライトのようなものだ。

「これぞ!ライス王国製の最新鋭の品!アルファ馬だ!握り飯一個で10里は走る優れもの!しかも握り飯を与える時間しか休憩時間も要らず休みなしに走り続ける代物である!
馬車の方も最新鋭のエンジンというもののついた、すごく早い速度で走る馬車!これを使えば通常一週間はかかるダグまで1日で到着するのだ!さあ!皆乗り込むぞ!」

 スヴァ=ローグがドヤ顔でヴィダルとハティをその馬車に押し込めながら言う。

「ちょ!ちょっと!あああ!もう!」

「仕方ないだろう。王には従うしかない。」

 あきらめ顔のハティが馬車の座席に座りながら頭を抱えた。

「くっそ……。ミネルヴァの野郎、最近忙しいとか言いながらこんなもん用意してやがったんだな……。」

「さあ!出発だ!行くぞ!!」

 満面の笑みのスヴァ=ローグを見ながらヴィダルとハティは大きくため息をつくのだった。l

久しぶりにキャラ紹介

久しぶりの更新です。

絵がたまってきたので野球大会放置してんのにキャラ紹介


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「ふむ。少し遅くなったかな?これも衰えというものか。」

ダズラ王国武装執事隊第2席、ヌワラ=エ・リヤさん

若き日は野球チームで俊足を生かした一番打者として活躍。しかし周りには物を軽くする呪詛が使えると言っているが、実際は重力を操作する呪詛が使えるため、自分の周りの重力を軽くして異様な速度で動いていたりする人。152歳の老人にもかかわらずめっちゃ足が速い。

その特技の為か武装執事隊員同士の伝令や斥候を務めることが多い。

スヴァ様のお気に入りのセイ=ロンが羨ましくてライバル視している。



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「私嘘つかないアル。私は誠心誠意スヴァ=ローグ王にお仕えしているのでアルよ?」

ダズラ王国武装執事隊第4席 キー=マン

糸目のアルビダですっごい胡散臭い。語尾はなぜかアルがついてたりする。

自分の言葉を信じ込ませる呪詛を使う情報戦中心の人。

でも胡散臭さのあまりに武装執事隊の中でも浮いてる。

 

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「僕は!メイドじゃなくて執事なんですッ!」

ダージ=リン君

武装執事隊第5席の子。メイド服を着ているが本人は執事だと言い張る。

派遣先の執事の趣味でメイド服を着せられているが髪を伸ばしたり割と満更でもないらしい。男の娘というアレ。サターニア種なのでちょっとよく見ると怖い。

セイ=ロンさんをすごく尊敬している。

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「おお!あの方は拙者の運命のお方!あの方を娶るまではリーフィには戻らん!」

トキミツ=ヨンジョウさん

リーフィ大陸から小舟を漕いでやってきた刀鍛冶兼剣客。

ミネルヴァに一目ぼれして店に通っている。でもミネルヴァにユピテルという恋人が居るのは知らない。

ミネルヴァを口説き落としてリーフィに連れて帰りたいらしいが、ミネルヴァ自体大陸の神なので無理というすごいムリゲーしてる人。

この人の武器屋はそこそこ繁盛しているらしい。

 

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新キャラでもないけど初めてヒルデブランドの兄貴カラーで描いたよ!

よく考えたらこいつ受けのホモなんだよなぁ…って思った。

 

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アップしわすれてたけどグリザイユ画法のやり方模索中に描いたミネルヴァ。

脚フェチです。

とりあえず野球大会、ネタだけは膨らんでるのでさっさと落とし込みますよおおおお!

遅くなりましたが長田さん誕生日おめでとうございます!

新しいPCが液タブなので予想外に絵が描きやすくて喜んでる春巻ですこんにちは。

遅くなって申し訳ないのですが長田さんお誕生日おめでとうございます!

紫電ちゃん描かせていただきました!

不慣れなグリザイユ画法をやってみたので顔の傷が非常にうっすくなってしまった(´・ω・`)

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これからも楽しい企画を続けていってください!

 

おまけ

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うちのハティさんの双子の兄貴のスコルさん

メンヘラ気味でハティさん大好きで殺そうと大陸をさまよってます。

ルラ茶っ子わんぱく相撲大会優勝の輝かしい功績をもっています。

ハティを脅して優勝したとかなんとか…

 

野球大会はまた次に!

クレスダズラの神話。 続き

 メサ=コアトルの抜き取った羽から二人の文様を持つ翼有人が生まれました。
その二人は翼有人の祖先となり、山岳地帯で栄えました。
 それから何百年も経ちましたが翼有人の中にまれに文様を持つ子供が生まれるようになりました。
有翼人達はメサ=コアトルの子として大切にされるようになりました。
 大陸創世から何年経ったでしょうか。文様の子供がまた生まれました。
月と太陽と名づけられたその男の子の双子は、仲良く育ちました。
 あるとき、冒険者の一行がルラ高地の里に訪れました。
月の子供は冒険者の話を聞き、自分もなりたいと思いました。
太陽の子供は月の子供のことが大好きだったのでそれをとめようとしましたが、
大きくなった月の子供は里を出て賞金稼ぎになりました。泣いて泣いてそして笑いました。
「僕のものにならないのなら、いっそ殺してしまえばいい。」
 そう言って太陽の子供も里を出ました。
太陽の子供は月の子供を捜しています。いつまでも。いつまでも。

 

 

 

現代の話です。

月の子供はアホ毛のあの人です。

兄貴がちょっとメンヘラこじらせてます。

野球大会にちょいちょいはさんでますが野球大会早く書きます……。

野球大会編 第三章 黒の蝶にて

――大蟹の月22日、クレス王国黒の蝶。
 ミネルヴァはクレス王からの招待状を見ていた。
黒の蝶側より数名選手を用意して欲しいという要請があったからだ。
「んーどうしようかしらねぇ……。ウグイス嬢もこちらで手配してほしいとのことだけど。」
 ミネルヴァは思案する。金貨にして300枚の大仕事が待っているのだ。下手なことはできない。
「ミネルヴァ様。お茶のご用意ができました。少々休憩なさっては?」
 紅茶をトレイに載せたシレスに休憩を促される。
いい事を思いついたかのようにミネルヴァはぱっと顔が明るくなりシレスに言った。
「そうだわ!シレス。貴方ソフトボールやってたわよね!野球大会に出なさい!あとウグイス嬢はペトラね。あの子あの辺上手いから。」
「は……はい。良いですが国家同士の野球大会に、私なぞが出ても良いのですか?」
 戸惑うシレスを尻目に返答の手紙にシレスとユピテルの名を書くミネルヴァ。
「ミネルヴァ様?ユピテル様はこの場に居ないのですが、勝手に出場の手配をしてよろしいのですか?」
「いいわよシレス。あいつツケためてるから、この辺で支払わせとかないと。それに……クレスの事はクレス王にやっていただかないとね?」
 最後に付け足すようにぼそっと、ユピテルの正体をつぶやくがシレスは何を言っているのかわからない風な様子で疑問顔を浮かべた。
「はぁ……。よくわかりませんがユピテル様に伝えて参りますね。」
 シレスは部屋を後にすると、ミネルヴァは書面にサインすると蝋で封をした。
「あとは、BBQ大会の手配と……。まぁ。うふふ。ハロルド王ったらこんな御茶目なこと考える子だったのね。いいわ。ビール樽用意しようじゃないの。」
 にやりとわらうと、商人宛ての書面にカリカリとBBQ大会用の資材とハロルド王の考える“余興”の用意をしていくのであった。
「楽しみね……!」

 

 

ミネルヴァのターン!ドロー!

金貨300枚を犠牲にしていろいろな資材を召還!!